東京地方裁判所 昭和50年(特わ)2469号 決定 1980年11月28日
本籍
群馬県邑楽郡板倉町大字下五箇八五七番地
住居
東京都足立区千住旭町二番三号
職業
不動産、金融、旅館業
荻野寅市
大正三年五月一二日生
右の者に対する所得税法違反・出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律違反被告事件について、当裁判所は、次のとおり決定する。
主文
本件公訴を棄却する。
理由
本件公訴事実は、別紙記載のとおりであるが、昭和五五年一一月二五日付群馬県邑楽郡板倉町長小森谷義一作成の戸籍謄本によると、被告人は、昭和五五年一一月一三日午後九時一〇分東京都足立区で死亡したことが明らかであるから、刑事訴訟法第三三九条第一項第四号により、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 半谷恭一 裁判官 松澤智 裁判官 井上弘通)
(別紙)
公訴事実
被告人は、東京都足立区千住旭町二番三号において、不動産、金融、旅館業を営むもの、永山高雄は、被告人の不動産売買業の代理業務及びその事業全般に関する経理事務に従事するかたわら、財団法人英学塾志学館の理事の職にあるものであるが、
第一 被告人は、自己の所得税を免れようと企て、永山高雄と共謀のうえ、実際は被告人において行った不動産売買を右財団法人志学館の取引行為であるかのように仮装し、あるいは売却利益を圧縮して記帳し、又は受取利息収入、家賃収入を除外する等の方法により所得を秘匿したうえ、
一 昭和四七年分の実際総所得金額が二一、〇三二、六五七円あったのにかかわらず、昭和四八年三月一五日、東京都足立区千住旭町四番二一号所在の所轄足立税務署において、同税務署長に対し、同年分の総所得金額が五、六八二、四一四円であり、これに対する所得税額が一、一六七、八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額九、〇三九、四〇〇円と右申告税額との差額七、八七一、六〇〇円を免れ、
二 昭和四八年分の実際総所得金額が二九〇、八〇六、八四八円であったのにかかわらず、昭和四九年三月一五日、前記足立税務署において、同税務署長に対し、同年分の総所得金額が四、九七七、四六四円であり、これに対する所得税額が九一〇、〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額二〇五、一一九、九〇〇円と右申告税額との差額二〇四、二〇九、九〇〇円を免れ、
第二 被告人は、昭和四七年二月二九日ころから、東京都足立区千住旭町二番三号の自宅等において貸金業を開始し爾来別表貸付関係一覧表記載のとおり昭和四八年一二月二九日ころまでの間増保錠一ほか二七名に対し合計四六四、八四二、〇〇〇円を貸付けてその業を継続していたものであるが、右業の開始後遅滞なく大蔵大臣に対し所定の届出をしなかった、
ものである。
(別表) 貸付関係一覧表
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